最新情報のお知らせ

肩の痛み、五十肩、四十肩、肩関節周囲炎について

2023/06/18

肩の痛みの主な呼び方には五十肩(ごじゅうかた)、四十肩(しじゅうかた)、肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)などが一般的に使われてます。

腰痛、膝痛(変形性膝関節症、半月板損傷など)に次いで多いのが肩の痛みです。

40代後半から肩の痛みが出てくる方が多いので「四十肩」「五十肩」などと世間では呼ばれることが多いです。

怪我をきっかけに痛みや動きが悪くなる場合は「五十肩」とは呼びませんが、過去に打撲やねんざ、脱臼を起こしたことが長年にわたって症状を出すこともあります。

これらの呼び方は漠然としており、本当は病態(五十肩の原因)から病名は付されるべきなのですが、原因がはっきりしない場合「肩関節周囲炎」と整形外科では呼んでいます。

五十肩(肩関節周囲炎)の症状として、

1,動かさなければ痛くないが、肩を挙上(腕を上げる)する時の痛み、また下ろすときの痛みがある。
2,夜痛い側の肩を下にして寝ると痛みで目が覚める。
3,二の腕の肩に近い方が痛い。
4,肩が上がらない。
5,肩の前を押すと痛い、または動かすと痛い。
6,肩がかたい(動きにくい、可動域制限がある)。
などがあげられます。

上記の症状がある場合、整形外科では痛みや動きが悪い原因を診察、検査します。

肩関節はいくつかのパーツ(組織)から成り立っています。骨(上腕骨、肩甲骨、鎖骨)、筋肉や腱(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋、大円筋、上腕二頭筋腱、僧帽筋、菱形筋、前鋸筋、大胸筋、広背筋)また上腕骨と肩甲骨との隙間に肩峰下滑液包というクッション?のような組織が介在しています。

五十肩の場合、上記図の肩峰下滑液包に炎症を起こすことが多く、炎症を抑える注射などもこの部位に打つことが多いです。

また棘上筋という腱が切れている場合があります。この場合、五十肩の中でも「肩腱板断裂」とよび、場合によっては腱板修復術などの手術が必要な場合もあります。

またこの腱板に石灰がたまって痛い場合もあります。

これは石灰沈着性肩関節周囲炎(腱板炎)と呼ばれます。
石灰を手術で取り除くのは比較的困難です。
石灰が、腱板の組織深くしっかり固まっていることが多いからです。

極めて初期の場合は注射で石灰を吸引することができることもあります。

また、肩の前方に上腕二頭筋腱溝という部分があり、ここには上腕二頭筋の内側頭の腱が通っています。
ここの腱鞘炎を併発することも多いといえます。

肩の前面の筋張ったところが押すと痛い場合はこれば疑われるでしょう。

また、肩が痛くなって動かさなくなると、最終的には関節包(関節の袋)が堅くなって、凍結肩と呼ばれる状態になります。

これはリハビリしてもなかなか肩を上げることができない、いわゆる「拘縮」という状態です。

この場合、リハビリの効果が少ない場合、全身麻酔をかけて、他動的に肩を挙上する「徒手マニピュレーション」が行われます。

癒着してしまった関節包が破れることで、一気に肩が挙上できるようになります。しかし、再癒着を予防するため、数ヶ月間の通院、自宅リハビリ(可動域訓練)を行う必要性があります。

当院では五十肩に関しては注射、リハビリ、投薬といった一般的な外来治療を行っています。

また夜間痛が強い場合は腱板断裂の可能性もあり、肩関節造影やMRIにて診断しています。70才以下で腱板断裂がある場合は、手術で腱板修復を考慮します。

腱板断裂があっても痛みが少ない場合も多く、肩の痛みの原因は複雑な要因が関与しているのだと考えられます。

肩の痛みを我慢して、動かさないと、固まって凍結肩(拘縮)になってしまう五十肩も少なくありません。固まってしまうと、場合によってはマニピュレーションが必要になってしまいますので、慢性期には動かす練習(リハビリ)を行う必要があるでしょう。

このように五十肩、肩の痛みには様々な原因、病態があります(場合によっては頸椎疾患の可能性もあり)ので、肩の痛みがある場合は整形外科を受診することをお勧めします。

診療案内

サンプルバナー